応募したからには、まず音を聴かなくてはと、たまたまいち早くロンドン版「レ・ミゼラブル」のレコードを手に入れていた友人からカセットに音をダビングしてもらい、何度も何度も課題曲を聴き返して歌を練習していると、「書類審査を通ったので、◯月◯日◯時、◯◯スタジオに来て下さい」との通知!
やったぁ!
書類審査は、確か書類と歌を録音したテープを送ったのだと記憶しているが、これが通らなくては実際に歌を聴いてもらうこともできないので、よし!まずはオーディション会場に行って歌えるぞ!と、さらに必死に練習して、第一次審査の当日を迎えた。
第一次審査は、まず日本側のスタッフの方々での審査だった。
ところが、その頃私は、ちょうどミュージカル「ロッキーホラー・ショー」の稽古中だったため、稽古前にと、確か朝9時位からの審査となり、一生懸命早起きしてウォーミングアップしていったつもりだったのに、残念ながら自分としては思うように歌えなくて、「あー、ダメだー」と歌いながら諦めてしまったような始末だった。…
終わってすぐ、事務所の社長に「ごめんなさい、ダメでしたぁ…」と電話をし、「忘れよー。次にむかってまた頑張ろう」なんて自分に言い聞かせながら稽古場に向かったのだが、普段なら悔しくて仕方ないはずなのに、あれ?この意外なほどのサバサバ感はなんだろう?…ああ、そうだ!だって作品が大きすぎるよね。あはは、受かるわけないもんね。いやぁー。こりゃ無理だよね…と妙に納得してしまった私なのだった。
すっかり「レミゼ」のことは忘れて、「ロッキーホラー・ショー」の稽古に汗する中、再び連絡が入った。「第二次審査に来て下さい」と。
え?!やったぁ!第一次通ったんだぁ!!
諦めきっていたので、なんとも嬉しい知らせだった。
今度は、イギリスから演出家ジョン・ケアード氏が来日してのオーディションだという。わぁ、英語でなんて挨拶しよう、何を着ていこう、とドキドキしながらも、よーし!もう精一杯歌うのみ!と、また何度も音を聴きながら練習して第二次審査当日に。